C: キャリア育成・研修

人材育成→組織活性化→生産性向上

社員一人一人に関心を寄せる。

人材育成の定石 (INPUTx歩留まり=成長)

 社員に対して抱く成長の期待はやみません。 成長の速度は、それぞれですが、明確な事実が一つあります。 望ましい社員の成長の姿は そのための入力が不可欠だということです。 自然科学の摂理の通り、 投入したインプット(投資)も摩擦係数や吸収能力等により、100%がアウトプット(成果)に還元することはありません。 10のアウトプットが欲しければ、10と同等以上のインプットが必要なのは当たり前なのですが、実際は十分なインプットもないまま、多くの人が 10以上のアウトプットを求めている様子を見てきました。
10を投資しても9以下にしかなるわけがないのに、少しの投資で10を期待しているという当たり前におかしな現実です。 

どうして経営がそういう心理になるのかと云えば、 日本には古くから 「自己の成長は己の責任」であり、「他責にするな」「自身の努力が足りない」という 根性論が広く教育の場で標準化されてきたという背景があるからではないかと考えています。 

日本全体が昭和の時代から「苦労を乗り越えること」を美徳とする価値観・感受性が染み渡っているということを否定する人はおそらくいないと感じています。

 「うちの社員はレベルが低い」と嘆く企業をたくさん見てきた中で、十分な教育投資があるのに身にならないと嘆いているのかと詳しく聴いてみると 驚くほど社員教育・訓練への施策がないという現実に 中小企業の厳しい現実を見たのでした。 

 自然科学の摂理をそっちのけで、願望だけで社員が成長することは まずないと思っていただくのが、人材育成のスタートラインだと考えています。 INPUTは 研修やテキストを読ませたり、経験させるというHOWの観点も重要かもしれませんが、最も大切なのは 個々人の現状水準・適性・強みなどの個性を手間をかけてしっかりと観ることではないかと思っています。

「生産性向上」はどうすればいいのか?

 今、居る社員たちが、それぞれの役割や上層部の期待を理解し、業務の目的に共感して仕事に取り組んでくれたら 業務の生産性は高まるとは思いませんか? 

 「生産性が高まる」とは、インプットに対するアウトプットが増加するということですから、すなわち、会社の業績が良くなるということです。 生産性を高めるための施策を経営側ではどのように社内に企画し展開されているでしょうか? 人材育成の観点だけでなく、本業の業務オペレーションにも同様の理屈で相応のインプットが必要になってきます。

 生産性向上に効果のありそうな要因の一つとして 「やる気」というものがあります。その「やる気」に影響する代表的な施策で考えられるのは、「評価制度」での工夫です。 
頑張った人、成果を上げた社員には評価で報いるというシステムです。 しかしながら、日本のサラリーマンの給与推移をみると ざっと30年前は 今よりも 年収が約37万円も高かったと示されています。

<国税庁「民間給与実態統計調査」(1997年~2018年)によると 1990年代の平均給与額は10年間の平均で約455万円なのに対して 
2009年~2018年の10年間の平均給与額は約418万円だと報告されています。> 

「評価を報酬で報いるという手法がほとんど機能していない」ということの現れとは言えないでしょうか? 見方を変えれば、「ニンジンをぶら下げる」やり方は実際には経営事情からもなかなか難しいということがいえるかもしれません。 

素材の良さを活かせているだろうか? 

 プランニング業務でも、オペレーション業でも 結局のところ「有能な人財」が行えば高成果を得られると誰もが思うと思います。だから、採用時には「有能な人財」を求めるのでしょう。 あらかじめ「有能」を調達できれば良いですが、たいてい「有能な人財」は目利き力も高く、なかなか中小企業に来てくれませんし、採用するうえでもコストは高いものです。 

 今いる社員が”化ける可能性”に興味はありませんか? 今でもイケてる社員が”もっと伸びる”ことに期待してみませんか?  有能なシェフは高級食材でなくても 冷蔵庫にあるものだけでミシュラン級の料理に仕立てることができるといいます。 結果を残すアスリートには有能なコーチがいるものです。 「自己責任」で完結せず、会社の幹部のみなさんは、「活かす腕前」を磨かなければならないのです。イキのいい魚も無関心に放っておけばダメになってしまいます。

「あなたを見ているよ」という姿勢を見せる

見ているよ」といっても「監視しているよ」ではいけないのですが、複数の社員がいる組織の中で、何か施策を企画するとき、多くの場合、効率性を考えて画一的な施策になりやすいです。 しかし、人を活かしていこうと考えた時、画一的な施策一辺倒ではあまり効果は期待できないと思います。下手をするとむしろ反発にあうかもしれません。 

 出来る限り個別に丁寧に考えることが、彼・彼女が「その気」になれる可能性を高める作法だと思います。
「一人一人がみな違う」「誰にでも得意なことがある」「タイミングも濃度も違う」といったことに今までより敏感になりませんか。 会社がそういう丁寧な姿勢を見せることで社員の皆さんは 心理的に安心して本音を語ってくれたり、良い意見を提案してくれるようになるのではないでしょうか。

 人材育成、組織活性化への向き合い方を見直すことが、ここでのでの大目標「生産性向上」のための最初の施策になるわけです。

施策第二弾は 「自己理解」「他者理解」

 人材育成、組織活性化からの生産性向上というシナリオのベース施策の考え方についてお話ししました。 次は具体的なアクションを用意しています。 個々の社員が自分自身でも会社支援でもより活かされるために必須のアクションです。 「どこを伸ばせばいいか」「何を磨けばいいか」を明確に認識できるようにすることです。 

 詳細は ストレングスコーチングの章でお話ししますが、 「才能」にフォーカスして鍛錬すると 常に発揮できる「強み」に進化させることができます。 単なるパーソナリティー診断とは異なる ストレングスファインダーの受診を強くおすすめいたします。 

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日本経済新聞出版
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