C: キャリア育成・研修

チームビルディングには「解像度」UPを

「個人情報保護法」から関係性が変わった。

 2005年4月に「個人情報保護法」なるものが施行されて以降、世の中に様々な影響を与えてきていますね。 直近ではマイナンバーカードと健康保険証や運転免許証の一体化の計画も発表されました。 法律施行後から「個人情報」の取扱いは企業の中でも慎重な対応に変わっていき、「名簿」「住所録」的なものはその後社内のパブリックスペースからはから消えたという記憶があります。 個人的に 一番残念だったのは 「〇〇年度 新入社員紹介冊子(社内報の特別号)」が無くなってしまったことです。 自分が入社した時もそこに掲載されることで帰属意識が高まりましたし、同期メンバーのプロフィールを見るのも楽しみでした。 以降、世の中が大きく変化する中で、極めて親しいプライベート関係だけが個人情報を知り得る関係となっています。 昭和の時代の中盤では、よそのお宅の家庭内の事情や、夕飯のメニューまで近所に知れ渡るという、今では考えられないほどプライベートもへったくれもない時代を私は経験したことがあるのですが、その立場で気付いたことを今日はお話しします。

 職場や組織の解像度が・・・

 個人情報の取扱いがデリケートになっていくこと自体は、犯罪防止や利権保護など人々の生活の安全・安心のための必然の変化なのかなと受け入れていますが、職場や組織の個人の認識情報が激減していきました。 「あえてプライベートは聞かない」「下手に聴くとハラスメントの恐れ」 その後、コロナ禍によりリモート勤務も一般化し、疎遠化は間違いなく進んでいると感じています。 逆に、場所に関わらずリモートならいつでも繋がれるという便利さが加速していますし、そうゆう世の中を有効に活かす知恵や工夫もたくさん出てきています。 そんな中でふと私が気付いたことは 「チームメンバー(職場メンバー)の個々を認識する「解像度」がとても低くなっていることでした。 

 写真画質のプリントの会社にいたので、解像度の低い画像のぼやけたモデルの顔に、「これでは使えない」と厳しい評価をしていたことと重なりました。 チームメンバーを認識する「解像度」が低いと どこが良いのか、どこが悪いのか アドバイスする以前に 「見るに絶えない」となって、細かく見ようという気も奪われるのでした。

 解決したい課題があるとちゃんと新しいサービスが開発され、タレントマネジメントシステムだけでなく、いまでは、日々の”心のコンディション”という人の目に見えにくいものまでモニタリングするツールが流通しています。 過去にアナログと泥臭い人間関係で補完していた「解像度」を HR-Techが肩代わりするようになったのですね。

人間三階層理論

 「人間三階層理論」は私が、組織アセスメントの結果が「会話の少ない孤立した働き方である」とレポートされた際の組織風土活性化活動の中で考えついた自前理論です。

 人間は3階層で成り立っており、 外側は”プロフィール”、中間層が”エクスペリエンス”、深層部が”想い・志・パッション” というもので、「プロフィールも分からないのに思いの分かち合い等出来るわけがない。」と 半ば、個人情報保護法にたてつくかのような主張をして、それを補う施策を立案・実行していました。今思うと、2005年頃に 今はやりの「カスタマーエクスペリエンス・エンプロイーエクスペリエンスもパーパスも入っていて、なかなかよくできた理論だと自画自賛します。

 最近の人事領域での重要なキーワードの一つに ダイバーシティや個別化があり、とても重要な概念だと共感しています。 ”その人らしさ”をチームで共有できたら、上手に扱えるようになれば、個々の能力が発揮され、気分も高まり、業績もあがるというのは想像に易いです。

自分らしさ・その人らしさをくっきり見る方法

 アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)について、人事制度や評価、採用の設計段階で学ぶことがよくあると思います。 人間は無意識に何かに偏った認知の仕方をしてしまうので注意してと学びます。 「過剰な一般化」も人間が良くやりたがる偏見で、男は〇〇、女は△△、 □□県人は~、血液型O型は~ といった言い草はだれもが普通に言ってしまうことです。  「この世の中に一人として同じ人はいない」75億分の1の個人を 一般化するのには やはり無理があると思っています。 これまで、採用活動や人材育成の現場で、多くの「適性検査」「性格診断」なるものを取扱ってきましたが、今は 「これが一番使える」というものを見つけました。 「米ギャラップ社のストレングス ファインダー」です。

 34の資質が順位を付けてレポートされます。 上位ランクの資質がその人が自然に使ってしまう、使いやすい資質です。アセスメント後のレポートではそれを言語により明確に認識でき、さらにその意味合いを腹落ちさせることで、活かすための個人育成投資計画が立てられます。 自分らしく輝く「強み」を磨き上げることができるのです。 解像度が低いと磨きの作業も的外れになってしまいます。自分を、チームの一人一人をくっきり見れることの重要さはお分かりいただけるでしょう。

 ここで場合の数を計算してみましょう。第一位の資質として決まるのは34通りです。第二位の資質になり得るのは第一位の資質を除いた33通りです。 こうして34x33x32x…と第5位の29までやっただけで、271億通りになります。 あくまでも理論上の話ですが、ストレングスファインダーの結果が完全合致する人はこの地球上の75億人の中に一人もいないと言われても全く腑に落ちるのではないでしょうか。自分らしさが個別化されていて、詳しく言語化してもらえるこのツールは 個人のことが見えにくくなった時代に くっきりと認識できる絶好のツールの一つだとしみじみと思うのでした。

 認定ストレングスコーチの一人として、導入をお勧めします。

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