中小企業の人事部長をしていた時、新卒採用という大きなテーマがありました。大卒就活の、「早期化」「長期化」が進んでいる中でしたが、コロナの為にリモートといった「ハイブリッド化」まで出てきて、私とサポートの若手二人でプランニングもオペレーションもしていた時の話を聞いてほしいとおもいます。
「昔も今も 学生はかなり何もしらない」
「やりたい仕事」「向いている仕事」等を考えるところから業界や就職先を検討するというのが一般的なのでしょうが、無理なところからやるように勧めているなぁと思っています。自分の時(遥か昔)もそうでしたが、これから毎日会社に行って、一生涯やり続けたい仕事など見つかっていない学生の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。 実際私が「起業したい」と思ったのだって、思いつきみたいなものでしたし、60歳になってからなのです。
絞れと言われるので わずかな知識と憧れなどでとりあえずターゲットを絞り込んだりしているようですが、 学校教育で高校まで社会のことはほぼ知らないし、大学でもそれに毛が生えた程度の経験しか増えていない彼らに、「やりたい仕事」を絞るよう迫っても 小学生が「Jリーガーになりたい」「ケーキ屋さんになりたい」と可愛く言っているのとあまり変わらない気がします。
「向いている仕事」を考えて!といっても 「一体、僕はどんな仕事に向いているんだろう?」 という疑問にフツーに直面しますよね。
そんなキャリア教育や就職支援では 一部の優秀層を除く大抵の学生は「なりゆき就職」となっているのではないかと思っていましたが、インターンシップや会社説明会などの学生との非常に多くのタッチポイントで学生さんたちが、知らないまま決めようとしている現状に触れる中で「なんとかしてあげたい」と私の親心はピークに達していました。
「就活準備塾」企画発進
就活前にできるだけ学生さんたちが知っておいたほうがいい「仕事の本質」や「会社の構造」「業界の関係性」などについて情報をあげないと、キャリア教育の入り口にも入れないと考え、1dayインターンシップのコンテンツとして生み出したのが「就活準備塾」です。 2部編成になっていて、黎明編は前述の内容で、すなわち「選ぶ力向上」のためのコンテンツ、 萌芽編は自己理解とどんな企業でも欲しがられる人財にフォーカスし「選ばれる力向上」のための講座を実施しました。 1dayインターンシップ名目でやったので、1回120分を30回近くやった気がします。 このことが人伝いで少しだけ評判を呼んで、 講師として商工会議所の就活セミナーに呼ばれたり、大学のゼミに呼ばれたりもしました。 いずれも事後アンケートの参加者感想は好評で、自分としては「がんばれ若僧!」と応援の気持ちが高まりました。
★ 高卒就活生たちも大変だ。ブース来場者 約15名
起業して 中小企業家同友会という全国組織に入会しました。 私は諏訪支部に所属していますが、ここでは数年前から独自企画で 諏訪実業高校から就職をめざす学生のために「ミニメッセ」という合説のようなイベントを9月にしており、今年も9/1 に午後の1時間だけ開催されました。 対象学年はなんと「1年生」。入学半年でもう就活だ。早期化・長期化は高校まで来ています。当社は新卒採用の予定はないのですが、 就職を目指す学生の為となれば、「就活準備塾」だろうと考え、一つブースを出させていただきました。 これまではパワポプレゼンスタイルだったのですが ミニメッセではそんな気の利いた設営はないし、全部で1Hでしたので、 ダイジェスト版の紙芝居をつくって臨みました。 代わる代わる3つのグループがブースに元気良く来てくれたので、「選ぶ力UP」か「選ばれる力UP」どっちのテーマにする?と聞くと 3グループとも「選ばれる力UP」でした。 就職は選ばれるものという思いが強いということがわかります。 私としては能動的に「選ぶ力UP」を選んで欲しかったというのが本音でなのですが。
翌日の信濃毎日新聞で、「就活準備塾」の内容を聞いていた記者の方が、私が学生らに送ったエールの一部を記事にしてくれていました。
もっと多くの学生に聴いてもらいたいし、 就職担当の先生方にも聞いてもらいたいと思っていたので、 先生や新聞社にデモを聞いてほしいと事後に打診したのですが、あまり興味を持っていただけず、今のところスルーの状態です。