オーナーシップの本質
昨夜、地域の経営者があつまるコミュニティーに参加した際に、オーナーシップの話が少し出たので、またまたそれについて私の自問自答が始まりました。
前回のブログで「1分間エンパワーメント」ダイヤモンド社発行 からの事例として「顧客第一」を現場実践する従業員の例を取り上げましたが、オーナーシップを従業員・顧客双方で感じられるシーンを想像したとき 「お客様がありがとうと言ってくれる」シーンが連想されるのですが、「これって、サービス業ではとても分かりやすいが、製造業でも言えてるのだろうか?」という問いが自分に思い浮かんだのです。
製造業の中でも 特に 原材料、受動部品等のように最終製品のもたらす付加価値から 一般的に距離感を感じるモノの製造に携わっていると ユーザーの喜ぶ表情との接点もないし、サービス業のように直接お客様からの「ありがとう」の笑顔に触れ、オーナーシップを実感できる機会もかなり限られているのではないかと考えたのです。
私のキャリアはエプソンで水晶振動子(クォーツ)という 一般の人は生涯目にすることがないような製品の中の基盤に実装される電子部品の海外営業から始まりました。 当時の主力の用途は腕時計やPCだったのですが、それらの最終製品が 機能としてユーザーにもたらす価値創出には必須の要素であることは間違いないのですが、部品だけを製造したり、販売したりしている立場からすると最終的に完成品を手にするユーザーの存在やその皆さんの感謝の気持ちを連想させることはかなり思いづらかったことを思い出したのです。
私の場合、それをどう変換解釈していたかをもう一度考えてみました。 その当時の我々にとっての顧客は 最終ユーザーではなく、納入先のメーカーだったことを思い出しました。SEIKOの時計だけでなくメジャーな欧州ブランドや グローバルなPCメーカーの看板機種などへの 採用実績でした。 部品サプライヤーとして認定・採用をしてくれていたメーカーが直接の顧客であり、困難な技術課題に対応し、品質の良い部品を納期通りに納入してくれる納入業者として感謝されていたということを思い出したわけです。 「お客様は誰なのか?」を正しく認識できれば、製造業でもオーナーシップを実感できることに改めて気づかされました。